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【大分県】利用者の利便性を第一に業界のタブーに挑戦し、すべての人にお菓子やパンを作るよろこびを伝える

2022.01.13

株式会社cotta

代表取締役社長 黒須綾希子

【大分県】利用者の利便性を第一に業界のタブーに挑戦し、すべての人にお菓子やパンを作るよろこびを伝える

株式会社cotta

代表取締役社長 黒須綾希子

利用者の利便性を第一に業界のタブーに挑戦し、

すべての人にお菓子やパンを作るよろこびを伝える

―大分県― 株式会社cotta

大分県津久見市で1998年に創業した株式会社cotta。乾燥剤を中心に菓子用資材を少量から通信販売し、2005年には福岡証券取引所(Q-Board市場)に株式上場を果たしました。2006年に開設したインターネット通販サイト「cotta(コッタ)」は好調で、2013年には東京証券取引所(マザーズ市場)に株式を上場し、2021年9月期の売上高は過去最高を記録しました。2020年1月に2代目社長に就任した代表取締役の黒須綾希子さんに、成長を続ける強さについてお話を伺いました。

通信販売専門の卸業からECサイト、自社商品開発と変化し続ける企業として

――創業当時は、乾燥剤等の菓子用資材の卸事業をメインに展開されていました。


黒須社長 当社は1998年に、日本最大の石灰鉱山に囲まれた大分県津久見市で「株式会社タイセイ」として創業しました。創業者である現・代表取締役会長が、「包材が常にデッドストックになって困っている」という小規模製菓店の声に耳を止めたのがきっかけです。

当時は包材をケース単位で販売/購入するのが業界における常識で、中小の製菓店はシーズンを持ち越して包材を使わなくてはならなかったり、廃棄を余儀なくされたりという実態がありました。そこで、地元商材である乾燥剤を主要商品に、菓子用資材を小ロットに小分けして通信販売によりお届けすることを主軸とした事業を始めました。

製菓店向けの卸業者としてロットを崩すのはタブーとされていたのですが、100枚単位等での販売を始めてみると業績は右肩上がりで、おかげさまで創業7年にして福岡証券取引所に上場することができました。

 

――2006年からは、ECサイト運営に大きく舵を切り、商品ラインナップを食材や道具等に広げました。

黒須社長 コンビニスイーツの台頭で多くの町のケーキ屋さんが淘汰される中、当社では販路を拡大するべく、一般コンシューマーに向けたECサイト開設に踏み切りました。ブログ全盛期だったこともあり、インフルエンサー・マーケティングを積極的に行いました。カリスマブロガー100人以上に声をかけ、影響力がある人に向けて営業をすることで確実な情報発信力が備わり、サイトのファンが育ち、売り上げも順調に伸びていきました。

――自社での商品開発は、ECサイトの堅調ぶりに押されて始めたのでしょうか。

黒須社長 アスクルやアマゾンなどの通販企業が包材の小売りを行うようになり、小ロットでの販売という強みだけでは勝負できなくなったのが、自社商品開発を始めた大きな理由です。ECサイト「cotta」自体は家庭向けが好調だったので、商品開発チームを立ち上げ、「簡単に流行りの模様がつけられるスタンプクッキー型」や「キュンとするクマやうさぎ型のマドレーヌ型」など求められていたが市場になかった商品を、顧客の声をベースにして作り上げました。

M&Aで子会社化した株式会社ヒラカワに工場の開拓や物流の手配、品質管理など商社部門の業務を担ってもらいました。

――ECサイト「cotta」で扱う商品のうち、自社開発の商品の比率はどの程度でしょうか。

黒須社長 現在「cotta」では約3万点の品揃えがあり、全商品売上の約45%がプライベートブランドの商品になります。お菓子やパン作りに必要となる資材や材料のすべてが揃う、多品種の小ロット販売が、他の通販サイトにはない当社の強みです。

 

――電話等による注文から、ECサイト「cotta」に発注を一本化され、その後2020年3月には、社名を創業時の「株式会社タイセイ」から「株式会社cotta」に変更されました。創業当初からの顧客の反応はいかがでしたか。

黒須社長 従来はFAXや電話による注文が中心だった法人顧客も、ECサイト「cotta business」を通じた発注に馴染んでいただけています。紙のカタログに比べて商品情報の更新頻度が高いことやおすすめ商品情報が自動的に提示されることなどの影響で、購買頻度が向上するという変化も生まれました。

2020年1月に私が社長に就任し、3月に社名変更を行いました。新社名はECサイトの名称を取り、イメージ統一を図ったものです。古くからの法人顧客に対しても数年前からECサイト「cotta」に発注を一本化していたこともあり、おかげさまで、変更への反応は良好でした

日本最大の石灰鉱山に囲まれた創業の地・大分県津久見市で、事業を続ける理由とは

――創業から24年間、津久見市に本社をかまえ続けています。


黒須社長 地元の産業である石灰の乾燥剤から始まった会社です。その商品力があったから成長できたと思っており、津久見が育んだDNAをこれからも大事にしていきたいと考えています。

関東のお客様が増加した際に関東に拠点を移そうかという話も出ましたが、移転はせずに関東圏に近いセンターを設置することで話がまとまりました。大分にいても東京と同じスピード感で仕事が回ることは、東京からUターン した私自身が一番実感しています。

 

――地元・大分に、企業として貢献していることはありますか。

黒須社長 貢献という表現が適切かは分かりませんが、人口の多くない津久見において従業員数100名規模の会社を経営し、一定の就業機会を提供できているのは意義深いことであると考えています。

2008年には厚生労働省から「はたらく母子家庭応援企業」を受賞してますが、従業員の働きやすさにも気を配っております。また、大分県の皆様にも、女性活躍やDX推進などを、大学での講義等を通じて触れていただく機会を提供しています。

BtoBとBtoCの垣根を超える新たな取り組みで、新たな強みを作り出す

――コロナ禍による「巣ごもり需要」が2020年と2021年の売上に大きく貢献したとのことですが、好調を維持できた要因は何でしょうか。

黒須社長 大きく変わったのは、個人の新規ユーザーが圧倒的に増えたことです。コロナ前に比べて、ECサイト「cotta」の個人会員数は2~3倍になりました。

――顧客数が増えると、客単価は下がってしまうのではないですか。

黒須社長 客単価は、意図して下げました。実は、コロナの半年ぐらい前から「お菓子づくりやパンづくりを趣味にする層に顧客基盤を拡げていこう」と決めていました。

離乳食のタイミングや、誕生日やクリスマスなどのイベント時、またはアレルギーへの対応など、自宅でのお菓子づくりに興味を持つきっかけはたくさんあります。まだお菓子作りが趣味でない人に、「お菓子づくりのきっかけを提供していこう」という姿勢を、客単価もLTB(ライフタイムバリュー)も下がることを覚悟で打ち出したところでした。

――今後の取り組みを教えていただけますか。

黒須社長 消費者の志向が価格から品質に移ってきていると感じており、素材や味をこれまで以上に追求し、ECサイト「cotta」でしか手に入らないものを増やしていきたいです。

また当社には、同一プラットフォーム上でBtoCとBtoBの双方を扱うという強みもあります。メーカーが業務用に提供しているマニアックな商品の容量を変えてBtoC向けに展開する、BtoC向けに開発した商品をBtoBで活用してもらえる機会も生み出すなど、既存の壁を越えての展開も考えています。

その一環として、法人・個人すべてのcottaファンを対象にした、オフラインのイベント開催なども考えています。イベントを通じて法人・個人を問わずに会員同士が触れあえたり、イベントに参加するためにcottaを利用したりするような、オフラインのつながりも作っていくことで、オンとオフのコミュニケーションのシナジーを求めていく考えです。

――株主の皆様に向けてのメッセージはありますか。

黒須社長 株主にも、株主になる見込みの方々に対しても、IRを積極的に推進できていない自覚はあるので、今後の大きな課題ですね。希望としては、「3年後・5年後の価値を見据えて」といった中長期的な視点で応援してくださる方に株主になっていただき、ECサイト「cotta」の割引など事業を通じたお返しができないかと考えています。

株式会社cotta


コード  :3359
本店所在地:大分県津久見市
上場日  :2013/09/17
https://www.cotta.co.jp/

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