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【宮崎県】コインランドリー運営なのに洗濯屋ではない?! 革新的なアイデアの実現へ突き進む企業

2022.03.29

WASHハウス株式会社

代表取締役社長 児玉康孝

【宮崎県】コインランドリー運営なのに洗濯屋ではない?! 革新的なアイデアの実現へ突き進む企業

WASHハウス株式会社

代表取締役社長 児玉康孝

コインランドリー運営なのに洗濯屋ではない?!

革新的なアイデアの実現へ突き進む企業

―宮崎県― WASHハウス株式会社

九州・西日本・首都圏を中心に633店のコインランドリーを運営しているWASHハウス株式会社。宮崎市で創業した20年前から「洗濯・乾燥の無料化」という革新的な考えを抱き、構想の実現のために自社基幹システムの構築や洗剤の自社工場設立など、着々と準備を進め、2021年には無料化の実証実験を実施しました。本企画では、代表取締役社長の児玉康孝さんに、創業当時から抱いてきた革新的な事業構想と、将来に向けた取り組みについてお話を伺いました。

「洗濯屋のつもりはない」と言い続け、独自の事業モデルを確立


――御社のビジネスモデルについて教えてください。

児玉社長 約20年前の2001年に宮崎でコインランドリー事業を始めました。コインランドリーというと、普通は洗濯をしたお客様から料金をいただくことが収益源になるわけですが、実は創業当初から「洗濯屋のつもりはない」とずっと言い続けてきた、ちょっと変わった会社です。全店舗を24時間受付のコールセンターで管理する独自のフランチャイズ事業を主な収益源とするだけでなく、ダウンロードが20万を超えたWASHハウスアプリ内で表示する広告からの収入を収益源とするビジネスモデルになっています。



――コインランドリー事業を始めようと思ったのはなぜですか。

児玉社長 洗濯は、人が生きる上で外せない営みだということが1つ目の理由です。2つ目は、これまでメーカーやサービス業の大手事業者が、コインランドリーの運営に参入してこなかったことが理由になります。コインランドリーというと、地域密着の設備屋さんなどが、会社員もしくは個人経営者へ機械を販売し運営する店がほとんどで、これを企業が取り組んだらどうできるのかと考えたのがきっかけです。例えば町の家族経営の小売店がコンビニエンスストアに変わっていったのと同じようなイメージができたので、私なりに事業モデルを組み立てたのが始まりです。

価格競争に陥らないための”無料化”

――「洗濯・乾燥の無料化」という革新的なアイデアは、どこから生まれたのでしょうか。

児玉社長 例えば20年前に洗濯したシャツと、今洗濯したシャツ、どちらがきれいだと思われますか。実は20年前のシャツも今着ているシャツも、ほとんど変わらずにきれいで、洗濯のクオリティというのはそれほど変わらないものです。だとしたら変わるのは対価ですよね。20年前から価格競争になることは見えていました。コインランドリーは装置産業であり、洗濯の質や効率もそれほど向上しない。勝負になるのは価格だと思い、だったら最初から無料を目指そうと考えました。その足掛かりとして、昨年(2021年)の11月には、洗濯・乾燥を完全無料で提供する1回目の実験を行いました。今年も数回無料実験を行い、最終的には全店舗を完全無料で洗濯・乾燥を提供する会社を目指しています。

――素晴らしいアイデアですね。無料化に向けてどのように取り組んできたのでしょうか。

児玉社長 まだインターネットの常時接続が普及していない創業当時から、全ての店舗に情報端末のタッチパネルを設置しました。そこで、パン屋や不動産屋など、近隣店舗の情報を発信してクーポンを発行できるようにしました。広告収益を上げることで洗濯を将来無料にするという発想で、ビジネスモデルを組み立てていきました。

無料化のためには20年という時間がとても大きな意味を持っています。何百店舗をすぐに無料化することは簡単ではありません。例えば20年前にできた1号店と今月オープンした店では、機械のバージョンも違いますから、それを同じシステムで動かし、すべて遠隔操作して運用するには膨大な手間とコストがかかります。これは、当初から計画しておかないとできることではありません。20年間準備したからこそDX(デジタルトランスフォーメーション)が実現できたと思います。時代が追いついてきた気がしています。

――事業展開する上で思うようにいかなかったことはありますか。

児玉社長 アプリでの広告とは別に、店舗の洗濯機・乾燥機をサイネージにしたいと思い、これまで取り組んできました。アプリ上の広告枠に、店舗の機械をサイネージ化することでアプリ上の広告枠の約10倍の枠が追加されることになります。そこでまず中国に法人を作り、洗濯機・乾燥機を中国法人で作る予定でしたが、コロナの影響で中国に渡航ができず、計画通り完成させられていません。

災害時には移動式ランドリー車で社会貢献

――宮崎県との関わりや地域貢献について教えてください。災害時用の移動式ランドリー車を開発されたそうですが、地域貢献という観点からお話しいただけますか。

児玉社長 2001年に創業後、しばらくしてから宮崎県や銀行が中心のファンドから出資を受けていました。創業の早い時期から支援いただきましたから、宮崎からは一生、離れられないと思っています。

災害時の地域支援を始めたのは、台風の影響で宮崎市の浄水場が水没して1カ月、断水したときになります。当社の店舗のバックヤードには1トンの水がストックできたので、そこに近所の農家から井戸水を提供してもらい、自社の給水車で水を支援して喜んでいただいた経験がありました。今は全国で毎年のように断水を伴うような災害が発生していますから、洗濯サービス会社としての社会貢献を考えて思いついたのが、災害用の移動式コインランドリー車だったんです。最新式の大型洗濯乾燥機を6台搭載してあります。宮崎県とは災害時の協定を結んでいますが、全国どこへでも伺います。

 

世界進出を見据えたコインランドリーのプラットフォーム化構想

――海外ではタイと中国に進出されているそうですが、グローバル展開についてお聞かせ下さい。

児玉社長 創業当時、世界のコインランドリーの状況を調べたのですが、世界中の人が洗濯をしているにも関わらず、私たちが調べた限りでは、コインランドリー運営会社として上場している会社は1社もありませんでした。タイや中国では、経済の発展に伴ってコインランドリーの店舗数が急増しています。進出する価値は十分にあると考えました。

中国への進出では、コインランドリーの店舗展開より先に「洗濯乾燥機を自社で作りたい」という思いが最初にありました。そこで現地の方と協力して合弁会社を作りました。機械製造の先には、中国でも店舗展開したいと思っています。中国でもコインランドリーはまだあまり普及していないので、チャンスはあると思います。コロナによって無料化実験の方が先に進みましたが、洗濯・乾燥を無料で提供できるビジネスモデルを持って世界に出て行ければ、より展開しやすくなると考えています。


――さらなる企業価値向上のための事業戦略を教えてください。
児玉社長 洗濯・乾燥の無料化を実現するための事業戦略としましては、コインランドリー事業をプラットフォームにすることです。まず一つが洗濯という直接的なサービス。2つ目が広告メディア事業。そこに将来は違う付加価値を付けることを構想しています。洗濯中の待ち時間でクーポンを使い買い物をしてもらったり、ECサイトを利用してもらうなど、コインランドリー事業を核としたプラットフォームを持つことで、様々なサービスに一気に広がる仕組みを考えています。

 

WASHハウス株式会社


コード  :6537
本店所在地:宮崎県宮崎市
上場日  :2016/11/22
https://corporate.wash-house.jp/

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