JPX

  • 大学生メッセージ

新市場区分は「日本は時代に合わせて変わる・変われる」という強いメッセージ

2021.12.24

八田潤一郎

八田潤一郎

慶応義塾大学法学部 学生投資連合USIC代表

新市場区分は「日本は時代に合わせて変わる・変われる」という強いメッセージ
八田潤一郎

八田潤一郎

慶応義塾大学法学部 学生投資連合USIC代表

日本最大の金融系学生団体『USIC』

慶応義塾大学法学部2年、学生投資連合USIC代表の八田潤一郎です。学生投資連合USICは全国29大学の投資サークル1100人(2021/10時点)からなる日本最大の金融系学生団体です。2008年2月の設立以来、「学生から日本を金融大国に」というVisionの下、「学生の金融リテラシーを向上させる」ことをMissionとして掲げ、学生には金融を学べる場を企業官公庁団体に学生との繋がりを提供してまいりました。

画像1:USIC運営メンバー(中央:八田潤一郎)

 

主な活動領域は、企業などと合同で開催する「各種イベントの主催・参加」、学生による学生のための「金融情報誌SPOCKの発行」(累計発行部数24万部)、全国の学生が一同に集う「大学対抗IRプレゼンコンテストの主催」です。近年は大手メディアでの連載による発信活動にも注力しています。また、学生の金融リテラシー向上にとどまらず、投資を実際にする・勉強する学生の代表として、金融庁などの官公庁と意見交換による「制度や仕組み面への働きかけ」、「次世代の高度金融人材育成・輩出」のための施策にも取り組んでいます。
コロナ禍では弊団体も例外なく、様々な制限を伴う中で活動しています。一方で、コロナは投資というものにスポットライトを当てた側面もあります。連日市場関連のニュースが報道され、おうち時間の増加でお金と時間に余裕のできた大学生を刺激しました。その結果として、USICの加盟サークル・加盟員数が増加しており、ほぼ男子で占められたサークルに、投資女子が急増しています。

画像2:勉強会開催例(コロナ前の対面開催時に撮影)

 

学生の金融リテラシーを向上させたい

学生が投資というと、「若い時からそんなことに興味をもつなんて立派」という肯定的な意見もあれば、「若い時から金儲けに走るなんて…」という否定的な意見の2つに分かれます。特に最近顕著に増えた意見は「若者が投資に熱中しているのは靴磨きの少年ではないか」というものです。つまり、靴磨きの少年のような、お金もなく株の知識もないような人が多く関心を持ち始めたのなら、相場は天井であり、暴落の予兆だという有名な逸話です。実質賃金が低迷する中、資産形成が長期的な目標にあるのは事実ですが、学生が投資に熱中するのは勉強になる、スキルが身につくからにほかなりません。情報収集を通じて経済に敏感になり、ビジネスの共通言語である会計の知識を習得し、分析し発表する(他者に伝える)。これらの知識・能力の総体こそが金融リテラシーであり、ここで養われた力は就活だけでなく、今後社会で生きるための糧となるでしょう。適度な付き合いが求められますが、時間とお金に多少余裕ができ、情熱も持ち合わせる大学生が投資に熱中するのは、決して「靴磨きの少年」ではなく、長期的な潮流です。コロナ渦は将来不安の増大とおうち時間の増加いう意味で、この潮流に拍車をかけたに過ぎないのです。
資金がなく資産運用の効果が望めないからこそ、儲けでなく投資を通じて勉強したいという点で、学生の興味の対象は専ら、手軽な投資信託よりも分析を要する「個別株式」です。その中で「米国株」と「日本株」のどちらに興味関心をもち、投資をするのかは学生の間でも二分されます。「米国株」の視点に立てば、GAFAMを中心に次々と巨大Tech企業が誕生し、世界を牽引していることは各株価指数の推移、マーケット規模をみても一目瞭然です。

画像3:大学対抗IRプレゼンコンテスト開催例(コロナ前の対面開催時に撮影)

 

他方、「日本株」の視点に立てば、各株価指数の推移やマーケット規模では劣りますが、列挙するまでもなく個別企業単位では世界に誇る技術力や分野を有します。学生にとって馴染みのない、世界をリードするBtoB企業や身近な企業であっても驚きの事業展開を発見することは日本株の醍醐味でもあります。

新市場区分で世界中に日本企業の魅力を発信

弊団体の主催する「大学対抗IRプレゼンコンテスト」も大学生が馴染みのない日本の企業群とマッチングしたうえで、学生ならではの独自の分析を加え、如何にその魅力を外部に発信していくかを競うものです。イノベーションを引き起こし続けるには、日本のマーケットに世界中から投資をしてもらい、お金の循環を作り出すことが必要です。そのためには、技術力だけではなく、企業の魅力を世界に発信することが日本の持続的成長に寄与するでしょう。
企業の魅力を発信することは企業単位の話に留まりません。今回の新市場区分スタート(市場再編)はマーケット全体で世界に日本企業の魅力を発信することだと捉えています。
日本は小さな島国ながら、上場企業数では世界有数です。一方で、その大部分が最上位市場とされる東証一部に属し、市場区分の曖昧さが指摘されるとともに、企業価値向上の動機付けが不十分でした。新市場区分では各市場区分のコンセプトに応じて、厳格な基準を定めることでコンセプト明確化による分かりやすさとともに、持続的な成長を促すインセンティブとなります。特に流通株式比率やコーポレート・ガバナンスに係る基準の厳格化・明確化に注目しています。日本では長らく、取引先や金融機関との間で、取引関係維持などの目的に株の持ち合い(政策保有株)がなされ、安定株主の多い実情があります。安定株主は経営の安定だけではなく、なれ合い関係に繋がるとし問題視されてきました。流通株式比率やコーポレート・ガバナンスに係る基準はガバナンスにおいても、グローバルに通用することを証明します。かねてからの課題に一つずつ真摯に向き合い、実現した新市場区分は単なる市場再編ではなく、「日本は時代に合わせて変わる・変われる」という力強いメッセージを世界に発信する契機となるでしょう。いつの時代か、学生の間でも「日本株」一択の時代が来るやもしれません。

八田潤一郎

八田潤一郎

慶応義塾大学法学部 学生投資連合USIC代表

学生投資連合USIC(運営) 

Share